「発酵道」から学んだ意外な人生の処世術
千葉県香取郡神崎町にある有名な酒蔵・寺田本家の今は亡き23代目・寺田啓佐(てらだけいすけ)氏が発酵からの学びを「発酵道」と表して書いた本。
お酒には「発酵」が欠かせないのよ!みたいなことが書いてある本かと思いきや、意外や意外、「生き方」を改めて見直す機会を与えてもらっちゃいました。
1. 発酵も 腐敗も心持ち一つ?
酒造りには欠かせない発酵。実は発酵の基本的なメカニズムは「腐敗」と同じ。どちらもさまざまな微生物やそれらが生産した酵素の働きによって有機化合物が分解され、別の物質を作り出す現象を言うようです。
じゃあ、発酵と腐敗って何が違うの?
それは、人間にとって有益なら「発酵」と呼ばれ、有害なら「腐敗」と呼ばれるようです。確かに、キムチ、納豆、ぬか漬け・・・・これらの発酵食品は、決して、「腐敗」食品とは言わないですね。
発酵の元となる微生物は「人間にとって有用に働いてくれる」善玉菌と、「腐敗物質を生成する」悪玉菌。そして!悪玉にも善玉にもなりうる「日和見菌」が存在するそうです。
よりよく生きてやろうと思える「発酵」の人になるのか、こんな面白くもない世の中「腐ってやるー」と「腐敗」の人なるのか。ホント心持ち一つなんですね。
2. それぞれの役割を全うする
目に見えないけど、微生物は自分の役割を心得ているようです。
酒造りの工程では、
酒母(しゅぼ)造りの段階で「硝酸還元菌」が登場し、まずは、亜硝酸を造ってくれます。そのお陰で、次に活躍予定の「乳酸菌」が働きやすくなります。
「乳酸菌」は、自分の役割である「乳酸」を作ります。そして、お役目をりっぱに勤めあげた「亜硝酸還元菌」と「乳酸菌」は、その後死滅していくそうです。
それぞれの使命を全うして、役目が終えたら、スーッと消えていき、次に来る微生物にバトンタッチをしていく。お見事というか、あっぱれな生き方。本当に見習いたい生き方ですね。
3. 自分らしく、楽しく、そして仲良く
発酵食品には「整腸作用」があるのは良く知られていること。でも、そんな機能性よりも、「微生物」の潔い生き方を丸ごと自分の体に取り込みたいって思いました。
1. 自分らしく
2. 楽しく
3. 仲良く
筆者の寺田氏はこのような微生物の生き方を「微生物の快法則」と名付けてました。
自分らしく・・・・
自らの役割、使命を心得て、自分の生命を燃焼させていく生き方。酒造りで言えば、硝酸還元菌が亜硝酸を作り、乳酸菌が乳酸を作り、酵母菌がアルコールを作り出す。同じように、私たち一人一人にも全うする役割や使命があるはず。
楽しく・・・・
自分が信じたこと、心から好きなことを楽しんでいく。形にはこだわらない。型破り、掟破り、常識破り。それで結構!「嫌なことはしない」と心に決め、後は楽しむばかり。寺田氏は、微生物のこのあっぱれな生き方を酒造りの中で感じていたようです。
仲良く・・・・
微生物の世界は、競争どころか、お互いに助け合い、支え合っている世界らしいです。お互いを尊重し、共生する。乳酸菌も、酵母菌も自分の出番が来るまでじーーーっと待っている。そして、いざ、出番!となったら、自分の役割を全うする。
「私が!僕が!」と身勝手に前に出ていくようなことは微生物の世界では無いらしいです。お互いの良きところを認め合いながら調和された結果、美味しいお酒になるんですね。
意外にも、目に見えない微生物による「発酵道」から「人生の生き方」を教えてもらっちゃいました。
自分にとって最も快いことを選択する、そんな一日を積み重ねていこう。
はてさて、私は、どんな風に「発酵」されるのかな・・・・。ちょっと楽しみ。
We are what we eat......私たちの体は食べるものからできています。
1日350グラムの野菜を食べましょう♪